概要

PHRとは「パーソナル・ヘルス・レコード」の略語で個人健康記録のことを指します。自分の健康を自分で管理していくことが可能となることで、健康増進、生活習慣の改善などに利用されることが見込まれます。三重大学では、PHRの県域展開を通じて、住民一人ひとりが自らの健康に主体的に関わる「患者中心の医療」の実現を目指しています。マイナポータルや電子カルテと連携することにより、健診や診療データ、医療費情報などの一元的な可視化が可能となり、健康管理の高度化や災害時の診療継続性の確保にも寄与します。

背景/目的

PHRは、個人が自らの健康・医療情報を一元的に記録・管理する仕組みです。近年、健康寿命の延伸や生活習慣病の予防、災害時の診療継続性確保といった観点から、PHRの重要性が増しています。

三重大学が進めるPHRは、電子カルテの医療データ(検査結果、診療履歴、投薬履歴、健診結果など)を連携し、患者自身が一元的に把握し、スマホ等で閲覧・管理できる「個人版の生涯型電子カルテ」です。個人の健康増進に寄与する他、家族による見守りやかかりつけ医への医療情報共有も容易になります。

三重大学では、自治体、医療機関、医師会等関係団体、企業などと連携して、PHRを活用した医療DXを推進し、医療分野における患者中心の「社会との共創」を目指しています。

実績/取り組み内容

・電子カルテと連携したPHRアプリ「NOBORI」(PSP社):登録人数4400名突破(2025年5月時点)。

・県内導入済医療機関:三重大学医学部附属病院、桑名市総合医療センター

・学内実装:三重大学職員が、自身の健康診断結果をPHRで確認可能に。

今後の展望

・利用者、導入施設の拡大:現在、県内5病院以上で導入を検討中。

・PHRを基盤とした県域健康増進支援サービス構築。

・PHRに蓄積されたリアルワールドデータを活用した臨床研究・公衆衛生研究の推進。