概要
三重大学病院では、2015年1月より手術支援ロボット「Da Vinci」(Intuitive社製)を導入し、現在では3台を稼働させています。県内の関係病院8施設にもDa Vinciが導入されるなど、ロボット手術は急速に普及しています。大学病院からは、これらの関係病院に対して様々な外科診療科の医師が手術や手術指導に出向いています。
こうした状況を背景に、三重大学病院では、県内の医療機関とクラウドネットワークで連携し、ロボット手術の見学や遠隔指導を可能とする「次世代クラウド型遠隔教育システム」の構築を進めています。2024年3月には、当院と桑名市総合医療センターの間において、Intuitive社の教育支援システム「Intuitive Hub」を日本で初めて導入しました。
背景/目的
手術支援ロボットは 2009 年に薬事承認され、2018 年には保険診療が可能となったことで、全国的に急速な導入と症例数の増加が進んでいます。Da Vinciシステムは 3 次元高画質画像と高精度の鉗子操作により、胸腔や縦隔などの狭小な領域における繊細な手術を安全かつ低侵襲で行える先進的な医療技術です。
一方で、ロボット手術には高度な操作技術が求められるため、十分なトレーニングと経験が不可欠です。従来は、外部から指導医(プロクター)を招聘して教育を行ってきましたが、COVID-19 の流行などにより中断や延期することもありました。また学会や研究会もリモートが中心となるなど、実践的な助言や意見交換がするという課題も生じました。
こうした背景から、大学病院と複数の病院をネットワークで結ぶ総合的なロボット手術教育システムの必要性が高まりました。三重大学では、インターネットを活用した遠隔教育システムの構築に着手し、大学病院の上級医による遠隔支援を通じて、若手医師の育成と地域医療格差の是正を実現することを目指しています。本システムは、次世代のロボット手術教育モデルとして大きな期待が寄せられています。
実績/取り組み内容
・三重大学と県内の病院をクラウドで接続し、Da Vinci手術の映像共有を可能にする遠隔教育システムを構築。
・川口晃司先生(呼吸器外科)を中心に、次世代クラウド型ロボット手術遠隔教育システムを国内で初導入。(2024年4月に稼働)
今後の展望
・三重大学病院と桑名市総合医療センターでの運用を皮切りに、県内の他医療機関への展開を予定。
・導入施設ごとにその有効性と安全性の検証を行っていきます。